11 KDDI Annual Report 2005
成長の新たなステージへ。
KDDIはこれまでの経営基盤強化のステージから、
更なる成長のために顧客基盤の拡大を目指す経営の
新たなステージへとはいっていきます。
株主ならびに投資家の皆様へ
2004年度(2004年4月1日から2005年3月31日ま での1年間)は、KDDIが合併直後に策定した中期経営 計画の最終年度にあたります。この意味で、合併作業の 締めくくりとしての成果が問われた年であり、同時にこ れからの成長に向けての方向性を明確にするための重要 な年でありました。当アニュアルレポートでは、これら 二つの観点、すなわちKDDIが達成した成果と、将来に 向けての戦略をご説明させていただきます。
合併時の目標を達成
KDDIは、前身である第二電電株式会社(DDI)が2000 年10月1日にKDD株式会社、日本移動通信株式会社 と合併して発足しました。この合併の狙いは、(それぞれ の企業が持つ強みを活かし、)固定電話から携帯電話まで の一貫したサービスを提供できる唯一の総合通信事業者 として、安全で利便性に富んだ付加価値の高い情報通信 サービスを提供し、人間性あふれる豊かな情報社会づく りに貢献することでした。
合併後最初に策定した中期経営計画では、2004年度 までの4年間を、まずは収益力が高く健全な財務体質を 持つ強い事業基盤を創りあげるための期間と位置づけま した。そしてその達成のために以下の3つの目標を掲げ、 グループの構造改革に全力をあげて取り組んできました。 1. 持続的な成長を見据えた「事業の選択と集中」
2. 合併効果をフルに発揮するための「スリムな事業体質の 構築」
3. 収益力が高く、安定した成長を実現する「財務基盤の強化」 この間、ADSLの普及によりインターネットが身近な ものとなる一方、携帯電話は高機能化が進み、本格的な 第3世代携帯電話(3G)時代に突入するなど、我が国の通 信業界は大きく変化してきております。
このような環境下で、KDDIの事業を牽引してきたの は、他社に先駆けて3Gの携帯電話サービスに移行する ことに成功したau事業です。特に、2003年11月から 開始したブロードバンドケータイ「CDMA 1X WIN」 は、先進的なサービスと定額制データ通信料金の提供な どにより契約数を大きく伸ばしました。この結果auは 2003年度、2004年度と年間契約数の純増シェアで 2年連続No.1の地位を獲得することができました。
更に、旧来型の通信設備の除却や遊休資産の処分、 子会社再編など、さまざまな分野で「選択と集中」を実践 してきました。2004年度においては、2004年10月、 PHS事業を展開するDDIポケットを、カーライル、 京セラおよび当社の出資するコンソーシアムに譲渡し、 グループ内のモバイル事業を携帯電話に集中することを 選択しました。また、2Gの携帯電話サービスを提供する ツーカーグループ3社については、事業全体の一層の 効率化とより機動的な事業戦略展開が可能となる体制を 構築するため、2005年3月末に100%子会社化しま した。このほか、2004年11月には4子会社を統合し
「KDDIネットワーク&ソリューションズ」を設立、中小 法人向けの固定通信サービスの販売機能を、KDDI本体
KDDI Annual Report 2005 12 から同社に移管し、法人のお客様が求める幅広いソリュー
ション・ニーズにお応えできる体制を整えました。また、 海底ケーブル敷設会社である「KDDI海底ケーブルシス テム」については、今後大きな需要が見込めないため、 2005年3月をもって解散しました。
これら諸施策の結果、合併後の中期経営計画に対して 所期の成果を残すことができたと考えています。最終年 度である2004年度は、連結決算での営業収益が2兆
9,200億円(前期比2.6%増)、営業利益は2,962億円
(同1.4%増)と共に過去最高となり、合併時の2001 年3月期に比べ営業収益で3.6%増、営業利益では約3 倍となりました。
フリー・キャッシュ・フローも△1,700億円から4,000 億円レベルとなり、合併時の最大の課題であった有利子 負債を、2005年3月末までに1兆円レベルまで削減する という目標を十分に達成し、8,646億円となりました。
小野寺 正 代表取締役社長兼会長
2001 2005 2001 2005 2001 2005
28,164
988
(1,700) 2,962
4,022
8,646 29,200
20,976
営業利益
FCF
(億円)営業収益
(億円)有利子負債残高
(億円)合併時との業績比較
2001年3月期の各数値は、連結の数値に合併前のKDD、IDOの上期を単純に合算しています。
13 KDDI Annual Report 2005
これらの成果を踏まえ、株主還元についても充実に 努めました。2004年度は設立20周年を記念した記念 配当1,000円を含め、年間の配当額を1株当たり6,900 円とし、前年度の3,600円から大きく増配しました。これ により、単体ベースでの配当性向は21.2%となり、目標 値としていた配当性向20%超を達成することができま した。なお今後については、更なる成長を勘案しつつ、 安定的な配当を継続していきたいと考えています。
一層激化する市場競争
KDDIは、合併後の経営基盤の強化について、厳しい競 争環境の中で一定の成果を挙げることができました。し かし、これからの事業環境は更に厳しいものになると考 えられます。
1)携帯電話市場では3Gでの競争が本格化しています。 国内市場における携帯電話の成長率が低下している中、 競合他社も3G携帯電話サービスを本格化させています。 また2006年度からは、モバイル・ナンバー・ポータ ビリティ(MNP)という、お客様が電話番号を変えずに 携帯電話会社を変えることができる制度が開始されます。 更に、今後は新規事業者の参入も計画されており、一段と 獲得競争が厳しくなることが予想されます。auは、これら の競争環境の変化を好機ととらえ、顧客基盤の更なる 拡大強化に努めてまいります。
2)固定電話市場では新たな競争が起こっています。 KDDIは、2005年2月より新たな電話サービス「KDDI メタルプラス」を開始しました。最新のIP技術を利用した、
高品質でコストの安い効率的なネットワークを構築する ことで、お客様に対してより低廉な料金を実現しました。 このサービスで、KDDIは従来までNTTが独占していた 固定電話の基本料ビジネスに参入しました。しかし、競合 他社も類似のサービスで対抗しており、またNTTもシェア を奪われないように値下げを実施するなど、固定通信市場 において新たな競争が起こっています。また、FTTH(光 ファイバーによる通信サービス)についても、電力系事業 者やCATV事業者など、既存の通信事業者以外の競争相 手もサービス競争にしのぎを削っており、こちらも厳しい 競争環境となっています。
新たなる成長に向けての3つのキーワード
私は、KDDIがこれまでの経営基盤強化の期間から、次 の利益成長に向けての新たなステージにはいったと考え ています。そして、これからの厳しい競争環境において、 顧客基盤を拡大し確実に成長していくために、以下の3 つのキーワードを掲げています。
「TCSの実現」
まず、KDDIが目標としているのは、TCS(トータル・ カスタマー・サティスファクション)という考え方です。 KDDIにとってのお客様は、私どものサービスをご利用 されているお客様のみならず、株主、販売店、メーカー 各社、社員、環境を含む社会全体などのすべてのステーク ホルダーであり、これらの方々から多種多様なご意見や、 ご要望を頂戴することで、サービスの質的向上を図って いくことが大切であると考えています。
TCS(トータル・カスタマー・サティスファクション)
お客様
範囲の拡大
(利益還元)
株主
社会環境
社会一般・環境
(貢献・奉仕)
サポート部門
社内環境
(協働・共感)
営業の第一線
サービスご利用者
(囲い込み・需要創出)
メーカー
(協業・共生)
販売店 事業環境
株主ならびに投資家の皆様へ
KDDI Annual Report 2005 14 2004年8月、auはJ.D.パワー社の調査における総合
顧客満足度調査で、携帯電話部門で総合第一位となりま した。これは、「端末」「コンテンツ」「料金」の3つを バランス良く取り揃え、お客様にとって使いやすいサー ビスを提供するという、「お客様重視」の活動が高く評 価されたためだと考えます。今後もこの考え方を貫き、 お客様にとってより良いサービスを提供していきます。
「戦略とスピード」
変化の激しい事業構造、淘汰競争の中で勝ち残り、成果 を遂げるには、あらゆる機能、あらゆる競争の場面で的 確な戦略を持つことを迅速に実践することが重要です。 言い換えれば、積極的な「攻めの姿勢」に転じることが 必要だと考えます。KDDIの前身であるDDIは、創業当 初よりベンチャー企業として日本の通信業界に競争を巻 き起こしてきましたが、このような企業風土をもう一度 前面に出し、一層活性化させていくことで、更なる成長 を実現していきます。
「FMC型サービスの推進」
市場全体としての成長が鈍化している中で、KDDIが更 なる成長を実現するためには、今後もシェアを拡大して いくことが非常に重要です。このための具体的な戦略と して、KDDIならではの、固定とモバイルとを融合させ た新たなサービスを創造し、展開していくことが、差別 化のための大きな武器になると考えます。これを、 FMC(Fixed & Mobile Convergence)型サービスと 呼んでおりますが、KDDIでは現在さまざまな角度から この開発を行っております。
その第一弾として、2005年5月から「KDDIまとめ て請求」を開始しました。これは、KDDIの固定電話と au携帯電話の両方にご契約いただいたお客様に対して、 請求書を一つにまとめたうえで料金を割引くサービス です。これをきっかけとして、今後も様々な融合サービス を打ち出していきます。また、法人市場においても、固定 とモバイルを融合したソリューション・サービスの提供 を行い、これからの成長が見込まれる法人向けモバイル 市場において、確実にシェアを獲得していきます。
来るべき「ユビキタス・ネットワーク社会」では、通信に おいて固定やモバイルという垣根はなくなり、あらゆる コンテンツやサービスへのアクセス手段は一体化したも のになっていくと考えられます。そうした前提の下で、 今、KDDIが目指しているのは、日本で唯一の総合通信 事業者として利便性のあるサービスを提供し、「世帯まる ごとKDDI」として固定も携帯も含めてのご契約をいた だくことにより、顧客基盤の拡大を図っていくことです。 なお、このアニュアルレポートでは、FMCの今後の
可能性について特集ページを設けています。KDDIが 考えるFMCサービス像をご理解いただければと思い ます。
コーポレート・ガバナンスとTCSの浸透について これらの事業活動を行っていくうえで、コーポレー ト・ガバナンスの確立は非常に重要な課題であると考え ています。KDDIでは、執行役員制の導入による意思決 定の迅速化や、監査役による経営チェック機能の充実を 図り、経営の効率化と透明性の向上に努めてまいりまし た。一方、2005年4月の「個人情報保護法」の全面施 行により、お客様情報の管理について一層厳格な保護が 求められており、当社は情報管理・コンプライアンスを 徹底するためリスク管理本部を設置、全社のリスクを一 元的に管理・統括するなど、体制の整備強化を推進して おります。しかし、これらの活動の根本にあるのは、お 客様重視の考え方であります。私は、今後もTCSをさ らに浸透させることで、KDDIに対する信頼感を高めて いき、ブランド力を向上させることにより競争力を強化 し、KDDIの企業価値を高めていくことが、重要な責務 だと考えています。
最後になりましたが、KDDIが大きな成果を残すこと ができましたのも、ひとえに株主の皆様方ならびにすべ てのステークホルダーの方々からのご支援の賜物と、心 より感謝しております。KDDIはこれからも皆様の信頼 と満足にお応えする高品質で利便性に富んだサービスを 提供する「ユビキタス・ソリューション・カンパニー」 を目指し、全社一丸となって努力してまいります。今後 とも変わらぬご支援とご鞭撻を賜りますよう、この場を お借りしてお願い申し上げます。
2005年7月
代表取締役社長兼会長 小野寺 正